クリストファー・アレクザンダー『ネイチャー・オブ・オーダー』①
クリストファー・アレクサンダー:
形の合成に関するノート(1964)、都市はツリーではない(1965)、パタン・ランゲージ(1977)など。
菊竹清訓の『か・かた・かたち』が提唱されたのも同時代。近代建築あるいは機能主義に対する疑問から、建築が生まれるプロセスそのものを根本的に、厳密に問い直さなければならないといった問題意識が共有されていたことが見える。その思考には言語論的な視座が強い。つまり現実を説明するものでなく、現実を規定するのが言葉であるという考え方。パタン・ランゲージは建築家に制約をかける憲法的なものの必要性を説いている、要は建築理論は建築家がドラマティックに振る舞うためのエクスキューズではなく、ユーザーが理解できるような自然言語であるべきだという話。253種類のパタンが辞書のように使うこともでき、それらを組み合わせることによって文章化することができる。ただそれはボキャブラリの提示(細切れの分析)にすぎず文法や組み立てに関しては言及はない。建築創造のプロセスのブラックボックスの開陳。
プロローグ
人の感覚はだれもほとんど同じで、どの人と比べても大きな差異がないと仮定した。たしかに私達のそれぞれが自分独自の性格的特徴を持っていて、人間の感覚について比較検討されるときはそれが注目されることが多い。しかし90%は共有されている感覚であり、パタン・ランゲージはそれを具体的な形で表現した記録なのである。
この著書において、
有機、無機にかかわらず、すべての空間やものには一定量の「生命」があり、これらのものや空間はその構造や配置により「生命」を強くすることも弱くすることもあるということ。
ものと空間はそれ自身の中に多かれ少なかれ「自己」を持っている。(ある種の人格のような実体)これは現在、物質や機能のひとつとして理解されているものである。
というふたつの主張が中枢にある。